弁理士はオワコン!?特許事務所の弁理士はやめとけといわれる4つの理由
- 弁理士に興味あるけど、実態はどうなんでしょうか?
- 弁理士って難しいわりにリターンって少ないの?
- 弁理士ってオワコンなのかな
↑のような質問を多くいただくので、これに答えていきたいと思います。
弁理士目指すのはコスパよくないとか、頑張って弁理士になっても、今後AIとかでどうなるかわからない、など色々な声をいただきます。
弁理士を目指すのってやめておいた方がいいの?目指す価値あるの?っということについて、私たちの考えを書いていきます。
1.弁理士はやめとけと言われる4つの理由
弁理士はやめとけと言われる理由を挙げてみました↓
1.弁理士試験の難易度が高い?
2.特許事務所の働き方がブラック?
3.AI技術の進歩により、仕事がなくなるのでは?
4.人と関わるのが少なくなって、引きこもりになる?
順に解説していきます。
1.1 弁理士試験の難易度が高い?
弁理士試験の難易度は、確かに高いです。
内容が難しいのもありますが、暗記する量が非常に多く、そこがネックになります。
具体的な勉強時間でいうと、約3000時間と言われてます。
平日1日4時間、土日それぞれ10時間勉強して、1年半くらいすると3000時間くらいになります。
私自身、3000時間くらい費やして合格しましたし、周囲の弁理士の話を聞いていても割と信憑性のある数字だと思います。
もちろん1000時間とか1500時間とか、もっと短い時間で合格した弁理士もたくさん知ってますが、あくまで平均的にはこのくらいということです。
1.2 特許事務所の働き方がブラック?
インターネットで検索しても、「特許事務所 ブラック」というキーワードがサジェストされてるくらい、特許事務所はブラックではないか?という声をちょくちょく聞きます。
確かに特許事務所の弁理士で忙しくしてる人もいます。
・深夜にメールがくる
・期限に追われて徹夜してる
・寝袋が特許事務所においてある
などなど、そういう話も実際にあります。
私自身、徹夜したことも2回ほどあります笑。
1.3 AI技術の進歩によって仕事がなくなるのでは?
AI(人口知能)の発達により、士業の定型業務はなくなっていくのでは?と言われており、特許事務所の弁理士においてもそのように言われてます。
「弁理士はAIに代替される確率92%」に弁理士会が反論!
Business Journal
https://biz-journal.jp/it/post_22313.html
確かに、特に商標の分野では、「toreru」、「cotobox」などAIを使ってオンラインで商標出願ができるサービスも出てきているので、システム化が進んでいるように思います。
1.4 人との関わりが希薄?
特許事務所の弁理士は、メインの業務が書類作成業務なので、1日中PCに向かっていることとかはザラにあります。
特に特許事務所では、企業と違って個人プレーの要素が強く、いわゆる上司部下との関係とか、同期とかのつながりとかは企業と比べると弱いです。
淡々と作業をこなし、自分の仕事が終わったら帰っていく。
そのようなちょっとドライとも思える仕事なので、人間関係が希薄になっていくのでは?と言う方もいます。
2.実際、弁理士はやめといた方がいいの?
実際、弁理士になるのはやめた方がいいの?ということについて、↓の観点から答えていきたいと思います。
- 弁理士試験について
- 特許事務所の働き方について
- AIの進歩について
- 人との関わりについて
順に解説していきます。
2.1弁理士試験について
確かに難易度が高いのは間違いありません。
ですが、難易度が高いということは、参入障壁が高いということの裏返しにもなります。
一旦合格してしまえば、他の人は容易には入ってこれません。
東大生でもバンバン落ちてる試験ですが、逆に合格できれば、人生において大きくアドバンテージがとれる試験でもあります。
実際、今までは挫折の人生だったけど、弁理士試験に合格してから人生が激変した、という話もたくさん聞きます。
私自身、技術者として挫折してこの先どうすればいいか不安で仕方ない時期もありましたが、弁理士試験に合格してから人生が大きく好転していきました。
難関な試験ですが、人生を大きく変えるインパクトのある試験なので、挑戦する価値は十分あります。
2.2特許事務所の働き方について
確かに忙しい特許事務所もありますが、特許事務所によるとしかいえません。
働き方改革など昨今の時代の流れにより、経営者側としても無茶な働き方は要求できないようになってきました。
特許事務所との契約形態は、①雇用契約と②業務委託契約があり、
①雇用契約の場合は、労働基準法が適用されるため、会社員同様、労働者は法律で守られます。
基本的には労働基準法にのっとって経営をしている特許事務所がほとんどです(そうでないと従業員から訴えられるリスクがあります)。
労基を守らないブラックな事務所がどうしても心配な方は、①雇用契約で、福利厚生もしっかりした大規模の特許事務所に入所するのがおすすめです。
大規模事務所はその辺しっかりしている場合が多いです。
2.3AIの進歩について
弁理士業務はそんな単純な仕事ばかりではありません。
上述したように、確かに一部の業務(例:商標出願)については、システム化が進んでいるものもありますが、
弁理士業務は総じて複雑な業務が多いので、部分的にAIに置き換わったとしても、弁理士業務の大半がAIに置き換わるのはもう少し先の話だと思います。
ただ、AIに完全にとってかわられることはないと思いますが、2023年、chatGPTを中心とする生成AIの出現により、一気にシステム化が加速する可能性があることには注意が必要です。
ここで重要なポイントとしては、「AIを活用する側に回る」ということです。AIに置き換えられることに怯えるのではなく、文明の利器を使う方向に頭を使うことが健全だと思います。
2.4人との関わりについて
特許事務所の弁理士は、企業で働く会社員と違い、何もアクションしなければ、確かに人との関わりは少ないです。
ですが、弁理士はものすごく自由度の高い仕事であり、
- 弁理士の会派の活動をする
- 委員会に参加する
- 所内で勉強会を開く
- 自分で営業する
など、自分で人と関わる機会を作り出そうと思えばいくらでも機会を作ることができます。
あらゆる仕事に言えるかもしれませんが、人とのつながりを持てるのは結局のところ自分次第かなと思います。
3.弁理士になるのをやめとかなくてよかったこと(経験談)
私の場合、弁理士試験の合格まで6年かかり、一時期は弁理士試験勉強をストップして、諦めようか迷っていた時期もありましたが、諦めなくて本当によかったと思ってます。
- 老後(将来)の不安が消えた
- 年収が上がった
- 色々な技術に日々触れられる
- 子どもの送り迎えができるようになった
- 色んな面で自由度が上がった
特許事務所の弁理士ということを前提に書きますが、↑のような色々な良いことがありました。
3.1老後(将来)の不安
- 年金2000万円問題
- 役職定年後、再雇用後の年収ダウン
- 終身雇用、年功序列の崩壊
老後に向けて色々な問題がありますが、以下の3つの理由によりこれらの不安は一切なくなりました。
- 特許事務所の弁理士の場合、定年という概念が企業よりも薄い
- 役職定年、再雇用という概念も薄い
- 実務能力さえあれば、どの事務所でも大抵働ける
3.1.1 定年という概念が企業よりも薄い
特許事務所でも、定年というものがありますが、一般企業よりも定年という概念は薄いかなと思います。
具体的には、65歳で定年を迎えたとしても、実務能力さえあれば、そのまま働かせてもらえるケースも多々あります。しかも売上が明確なので、企業の再雇用のように同じ仕事内容なのに年収が大幅ダウンする、ということが起こりにくいです。
特許事務所では、定年後、業務委託で週2~3回のんびり働いている人もいれば、老後に個人事務所を立ち上げて独立する人もいます。
老後のお金が足りなければ、最悪、定年後も働けばいいと思えるようになったので、老後の不安がなくなりました。
3.1.2 役職定年、再雇用という概念が薄い
会社員の場合、50代中盤くらいから役職定年が始まり、給料が減っていきますが、
特許事務所弁理士の場合は、(管理職ついてたら別ですが)役職定年や再雇用による収入の下がり幅は企業よりも小さいです。
これは、特許事務所の給料が売上連動であることに起因してます。
役職定年しても、再雇用になっても、要は売上さえ上げていれば、収入はそれに見合った分もらえます。
3.1.3 実務能力さえあれば、どの事務所でも大抵働ける
終身雇用が崩壊し、45歳定年制も話題に上がったように、1つの企業に長く勤める時代ではなくなりつつあります。
特許事務所の弁理士の場合、特許実務のスキルさえ身に着けてしまえば、他の事務所でも十分通用するので、会社(事務所)が潰れても、全然問題ないと思えるようになりました。
会社員時代は、
- 会社がつぶれたらどうしよう
- 会社が敵対的買収されたらどうしよう
- 会社の経営が傾いて収入が上がらなくなったらどうしよう
など、将来の不安でいっぱいで、会社にしがみつくのに必死でしたが、
弁理士になって、会社に依存しない、健全なメンタルを保てるようになりました。
3.2 年収の向上
企業から特許事務所に転職した際、年収が約1.5倍になりました。
特に特許事務所で弁理士資格を持っていると、給与の待遇は非常に良いです。
給料は売上連動の事務所が多いので、自分が成果を上げた分だけ給料に確実に反映されていきます。
売上連動はもちろん厳しい面はありますが、どれだけ頑張っても給料があまり変わらなかった会社員時代からすると、納得感もやりがいも全く違います。
自分の成果・成長が収入に直結する感覚は、なにものにもかえがたいものです。
3.3 色々な技術に日々触れられる
会社員時代は、自社の商品・サービスにしか触れることがなかったですが、
特許事務所の仕事では、色々なクライアントと関わるので、色々な技術に触れることができてます。
当然ながら特許は最先端の技術を扱うので、こんな技術があるのか!と日々新しいことばかりで、好奇心をすごく満たせています。
3.4 子どもの送り迎え
在宅リモート勤務・フレックスで働いているので、子どもを保育園に送っていったり、迎えにいったり、時間の調整がものすごくやりやすくなりました。
妻が忙しいときは、急遽私が送ったり迎えにいったりも柔軟にできるので、子育てがめちゃくちゃやりやすくなりました。
また、在宅リモート勤務のおかげで、前職での往復通勤時間の1.5時間がまるまるカットできたため、その分早く帰って子どもをお風呂に入れたりもできており、家族との時間は以前に比べて圧倒的に増えました。
3.5 自由度が増えた
様々な面で自由度が増えました。
例えば、16時に子どもを保育園に迎えにいってご飯食べさせてお風呂にいれて寝かしつけてから仕事をするとかもOK。
また、外部の委員会に参加したり、勉強会に参加したりなど、外部の人とも比較的自由に交流できるようになりました。
さらに、
- 転勤・異動はもちろんなし
- 昼間からフィットネスにもいける
- 会社都合の急な転勤で、奥さんのキャリアを狂わせたり、子どもを転校させたりの心配もなくなりました。
また、朝とか昼間から堂々とジムに行って、トレーニングしてからまた仕事に戻るというような生活も全然可能です笑。
雇われてる雇われていないにかかわらず自由に働けるので、弁理士になって本当に良かったと思ってます。
4.最後に
弁理士になるのは簡単ではないので、あまり気軽に勧めることはできませんが、
弁理士に魅力を感じている方はぜひ挑戦してほしいと思ってます。
今見てる景色よりも全く別の景色が見えると思います。
弁理士を目指す方を心から応援しています。