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未経験で特許実務者として特許事務所に転職するときに失敗しない方法

執筆者A 某大手事務所勤務 商標弁理士
未経験で特許実務者として特許事務所に転職するときに失敗しない方法

今回の記事は以下のような方におすすめの内容になってます。

  • 特許弁理士/特許技術者の仕事内容に興味持ってる方
  • 知財未経験だけど、特許事務所に転職できるのかな…と不安に思ってる方
  • 将来を見据えて知財業界にキャリアチェンジしたい方

この記事を読めば、未経験で特許実務者として特許事務所に転職する場合に、自分に合った特許事務所を探すのに役立つと思います。

実務未経験で特許事務所に転職するにあたって一番大事なこと

未経験転職で一番大事なことは、“適切な指導を受けられるかどうか”です。

最悪なパターンが、指導者が忙しく十分な指導を受けられず、我流で変なクセがついたままキャリアを積み上げてしまうことです。

特許弁理士/特許技術者の特許事務所でのメインの仕事は、特許明細書作成・拒絶理由対応(中間応答)などですが、”型”みたいなものがあります。

まずはベースの”型”をつくって、その”型”ができてから、自分のオリジナリティを付けていくイメージです(守破離のイメージです)。

最初の”型”をベースに実務スキルを積み上げていくので、”型”がきちんとできていないまま年数を積み重ねていくと残念なことになりかねません(実務経験はあるけど明細書のクオリティが低いままなど)。

なので繰り返しになりますが、未経験から転職を考えている方は、”適切な指導が受けられるか”を一番の優先順位におくとよいです。

年収は2の次です。きちんと実務できるようになれば、年収は後で取り返せます(特許事務所での給料は売上連動性なので、会社員に比べて年収を上げやすいです)。

未経験での転職はどんな特許事務所がいいか?

“適切な指導を受けられる”という観点からみて、どの事務所がいいか?ということについて解説していきます。

事務所を規模ごとに以下のように定義します。

  • 大規模事務所(80人以上)
  • 中規模事務所(20人~80人)
  • 小規模事務所(20人未満)

大規模事務所

大規模事務所に転職するのは、未経験者には無難な選択肢です。

というのも大規模事務所は比較的資本が大きいので、指導する余裕のある事務所も多いためです。

しかし、いざ入所すると、翻訳の仕事をメインで担当させられて、特許明細書作成・拒絶理由対応(中間応答)などをやらせてもらえなかったなどの話もあるので、面接の際に、実際の実務内容について入念にすり合わせることが重要です。

できれば、自分を指導してくれる人と直接話した方がいいです。特許事務所ではマンツーマンでの指導になることが多いので、相性が悪ければメンタルやられるからです。

大事なことは、“国内案件の特許明細書作成・中間案件を適切に処理できるスキルを身につけられるか?”です。

極論、↑のスキルが身に着けられればどの事務所でも大丈夫です。

中規模事務所

こちらも事務所によるというのが大前提ですが、中規模事務所でも、指導をしっかりしてもらえる優良事務所が多々あります。

しかも、所長やパートナー弁理士クラスから直々に指導してもらえる可能性もあります(大規模事務所ではあまりありません)。

所長やパートナークラスの弁理士がわざわざ時間を割いて指導してくれるのは相当恵まれてますし、いい指導を受けられる可能性は高いと思います。

中規模事務所の採用面談では、直接指導をしていただける方が出てきてくれる場合がほとんどなので、その際にちゃんと指導していただけそうかをしっかり確認しておくとよいでしょう。

小規模事務所

小規模事務所は、即戦力を求めている事務所が多い傾向もあるため、知り合いの紹介とかでない限り未経験者は避けた方が無難です(指導する余裕がない可能性もあります)。

特許事務所での修行期間を3年とすると、3年間経営が続くという可能性も他の中規模・大規模事務所に比べると低いので、そういう意味でも初心者は避けた方が無難です。

特許事務所によって明細書の書き方の流儀はバラバラなので、例えば1年間A事務所で修業して、(事務所倒産とかで)また違うB事務所に移って修行継続となると効率が非常に悪いです。

未経験で企業知財部から特許事務所への転職

実務未経験からの特許事務所への転職のパターンは大きく2つです。

  • 知財部から特許事務所へ転職
  • 非知財部から(技術部/研究開発部/生産技術部/製造部、調査会社など)から特許事務所

それぞれで若干観点が違います。

まずは知財部から特許事務所へ転職のパターンから解説します。

知財部経験は特許事務所への転職に有利か?

もちろん知財部での経験は、転職に有利に働きます。

知財部の仕事の大きな流れがわかっていること、知財部が求めていることが肌感としてわかること、は特許事務所にとっても大きなメリットです。

しかし、特許明細書作成・中間書類作成の経験がない知財部の方がほとんどだと思いますので、特別にいい待遇を受けられるかといえばそうともいいきれません。

多くの特許事務所では特許明細書作成・中間書類作成の実務経験がものをいいます。

年収は前職と同じくらい出してもらえれば御の字でしょう。年収が少しダウンしても仕方ないかと思います。

弁理士試験に合格してから転職した方がいいか?

弁理士試験に合格してから転職できるのが理想です。

企業知財部は技術部などと比べて、試験勉強時間が比較的確保しやすいケースが多いので、弁理士資格取得してからの転職はまずは目指すべきゴールです。

ただし、年齢が30代中盤以降に差し掛かっている方は、特許事務所で実務経験積むということを優先し、弁理士試験に合格する前に転職した方がいいかもしれません。

特許庁のデータによると、令和3年度の弁理士試験合格者の平均受験回数は約4回ということなので、合格まで最低4~5年はかかるということになります。

知財部の経験が長くても、40代で特許実務未経験の方は、特許事務所への転職条件が厳しくなります。

なので、ある程度の年齢の方は、弁理士試験合格より先に転職した方がいいかと思います。

また、知財部出身の場合、特許事務所勤務が合わなかったら、最悪、また違うどこかの会社の知財部に転職できる可能性はあります。

特許事務所に勤めるという適正を見極めるうえでも、30代に差し掛かっている方は特に、早めに転職した方がいいかもしれません。

未経験で非知財部から特許事務所への転職

研究開発経験は転職に有利か?

研究開発経験は転職にもちろん有利に働きます。特許実務をするうえで、技術の理解度が高かったり、技術を理解するスピードが速いためです。

ただし、特許実務ができるかとはまた別の話なので、特別にいい待遇が受けられるわけではありません。

年収は前職よりダウンすることが多いでしょう。

弁理士試験に合格してから転職した方がいいか?

理想は合格してから転職した方がいいですが、特に研究開発部などは忙しい場合が多く、勉強時間の確保が大きな問題となります。

私も当初は合格してから転職しようと思ってましたが、勉強時間を確保することがほとんどできず、ずるずると転職を先延ばしにしてました。

技術部の経験は3年だろうが、5年だろうが、10年だろうがあまり変わらないので(知財部の経験なら別)、勉強時間が確保できない場合、とっとと特許事務所に転職してしまった方がいいです。覚悟も決まります。

それか、一度知財部への転籍し、そこで知財部経験を積みながら勉強時間を確保し合格を目指す、という戦略もいいと思います。

ただ、繰り返しになりますが、特許事務所で必要なのは、どこまでいっても実務経験なので、特にある程度歳を取ってる方は、とにかく早めに転職して実務経験を積む、が優先事項です。

弁理士試験が早期に合格できる保証なんてありませんし。

私が弁理士試験合格前に、技術部から特許事務所に思い切って転職してよかったことは、↓こんな感じです。

  • 勉強時間が確保できた(特許事務所時代はほぼ定時帰り)
  • 事務所の弁理士の先輩がアドバイスをくれた
  • 事務所が弁理士になることを応援してくれた
  • 弁理士になるモチベーションがアップし、試験勉強が継続できた
  • コソコソ勉強するというストレスから解放された

弁理士試験休暇制度があったので、試験前は休暇をいただいて試験勉強に専念させてもらえましたし、周りの弁理士の先輩も優しい方が多かったので、色々教えてくれました。

また一番よかったことは、堂々と弁理士試験の勉強をできたことです。

技術部時代は、コソコソ隠れて弁理士試験の勉強をしてました(転籍、転職したいという意思が明らかなので)。

特許事務所では、弁理士になる、ということに対して事務所や先輩が応援してくれる環境でもあるので、試験勉強へのモチベーションがアップし、多くの勉強時間を生み出すことができました。

もちろん未経験から特許事務所への転職はすごく怖かったですけど、覚悟も決まるので、本当に思い切って決断してよかったです。

“弁理士試験に合格してから転職しよう”というのにこだわっていたら、ズルズルと転職を先延ばしにして、無駄に年をとっていたと思います。

未経験で特許事務所への転職に失敗しないためには?

未経験からの転職は、不安なことがとても多いと思います。

不安を解消するための方法としては、とにかくたくさんの情報収集をすることです。

自分で探したり、知り合いに聞いたり、転職エージェントサービスを活用したり、色々な方法がありますが、それぞれの特徴を解説していきます。

  1. 知人の紹介
  2. 直接応募
  3. 転職エージェント
  4. 求人サイト

知人の紹介

未経験者の場合、特許事務所の知人がいる方は少ないと思うので、知人の紹介というのはあまり多くないと思いますが、知人の紹介は、間違いのない選択肢の1つです。

弁理士試験に合格すると同期合格者とのコミュニティができるので、同期の紹介で特許事務所に入所するという話も結構聞きます。

最近ではTwitterなどのSNSで、知財関係者のコミュニティができているので、そこに参加して仲良くなった方に紹介してもらうのも1つのやり方かなと思います。

知財業界の方は、優しく気前の良い方が多いので、親切にアドバイスくれたりします。

ただし、紹介での転職の場合、入所後になんらかの事情で事務所を辞めたくなった場合、紹介の手前、辞めづらくなるというデメリットはあるので、その点は理解しておきましょう。

直接応募

Google検索などで調べて自分で応募するのは、未経験者にはあまりおすすめしておりません。

というのも、事務所のホームページにはいいことしか書かないので、いい事務所かどうか見抜くのは難しいためです。

また直接応募の場合は、特許事務所との年収交渉も自分でしないといけないので、自分の言い分を通すのが苦手な方とかは後述する転職エージェントに間に入ってもらった方が無難です。

未経験者の場合、ブラック事務所を引かないためにも、業界に詳しい人の情報はどうしても必要になります。

転職エージェント

転職エージェントとは、特許事務所(または企業)とアナタ(求職者)の間に入って、転職サポートをしてくれる人材紹介サービスです。

転職エージェントサービスに登録すると、エージェントから連絡がきて、年収・転職条件・経歴などをヒアリングし、そのヒアリング内容をもとに合いそうな求人情報を持ってきてくれます。

ビジネスモデルとしてはシンプルで、求職者の転職が成功すると、企業からエージェントに成功報酬が支払われます。なので、ユーザー(求職者)からすると、無料でサービスを活用できるというわけです。

転職エージェントサービスを活用して転職活動をすることは、安心感のある選択肢の1つです。

私が未経験で転職したとき、知財業界の知人もおらず特許事務所の情報が少なすぎたため、知財専門の転職エージェントサービスを活用しました。

私が活用したサービスでは、特許事務所の情報をたくさん教えてもらえて、履歴書・職務経歴書の添削もしてもらえました。

また、ブラック事務所を引く可能性が低くなる、というのが転職エージェントサービスを活用する大きなメリットです。

知財業界は狭いので、悪い評判はすぐに広まります。”ブラック事務所を紹介する転職エージェント”という悪評が立てば、すぐに業界に広まり、エージェント側からしても死活問題となります。

転職エージェント側のメリットもないので、エージェントが紹介してくれる特許事務所は、ブラック事務所である可能性が低いということになります。

求人サイト

知財人材の求人情報が掲載されているサイトがいくつかあります。

パテキャリ」もその1つで特許事務所や企業知財の求人情報を掲載しているので、ぜひ一度ご覧になってください。

最後に

転職は人生に大きく影響を与える一大イベントで、特に未経験から特許事務所に転職する方にとって、不安はすごく大きいと思います。

私自身、大企業から特許事務所に転職したとき、ほんとに不安でいっぱいで、バンジージャンプの飛ぶ前みたいな気持ちでしたが笑、バンジージャンプを飛んだあとは、なんてことありませんでした笑。まぁなんとかなります笑。

特許事務所はブラックだ!とかネットでは好き勝手書かれていますが、ブラックな会社もあるわけで、特許事務所が特に多いかと言われれば、働き方改革とか時代の流れもあり、そんなことはないと思います。

会社員よりも、裁量をかなり広く持って自由に働けますし、年収も上げやすい。さらに子どもの送り迎えとか寝かしつけとか、時間の融通もすごく効きやすい、とても良い仕事です。

特許事務所に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

執筆者A 某大手事務所勤務 商標弁理士 大手事務所に勤務している、文系(法学部)出身の弁理士です。 商標と意匠を専門としています。
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